特別な茶が飲めるお茶屋さんがつくる、お昼ご飯。代々木八幡「福籠(ふくろう)」

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代々木八幡の人気創作和食店「四季ごはん 晴れ間。」のランチタイムに営業しているのが、2019年7月にオープンした「福籠(ふくろう)」。「シンプルで身体に良い食事」をテーマに、有機栽培された稀少なお茶と、無添加・無農薬、天然素材にこだわったごはんが頂けます。水出しでじっくり抽出された美味しいお茶や懐かしい味のするおむすびを頂きながら、オーナーの板井秀司さんにお話を伺いました。

◆ゆっくり抽出する水出し緑茶はカフェインや雑味が無く、甘くまろやか

うちの店では美味しい有機栽培のお茶を中心に、身体によいシンプルな無添加のごはんをお出ししています。お話の前に、まずこれを飲んでみて頂けますか?有機栽培の玉露の水出し茶です。 「とても美味しいです!透き通るような味というか飲み口というか、今まで飲んだことが無いようなお味です。浮かんでいるのはローズマリーですね。緑茶にハーブを入れて飲むのは初めてなのですが、とても合いますね。」 甘いですよね。水出しのお茶にはカフェインが殆ど含まれていないんですよ。水出しでゆっくり抽出する事によって雑味が出ず、テアニンといわれる旨味成分中心に抽出されるので、まろやかで甘い感じのするお茶になります。 使う茶葉にもよりますが、うちでは基本的に京都の茶葉を中心に扱っていて、これも京都でオーガニック栽培された、一番茶です。水は、山梨県の忍野八海のものを使っています。次は、この水出し緑茶を飲んでみてください。
「これもまたとても美味しいです。深みがあるのにスッキリとして身体にスーッと浸透するような感じもします。」 京都宇治田原産、手摘みやぶきたシングルオリジンです。一番茶です。(※一番茶は5月の茶葉の栄養価が一番高い時に摘まれたもの。7月頃に摘まれるのが二番茶)残念な事でもありますが、有機栽培のお茶の国内需要って実は高くなくて、殆どが海外で消費されているんですよね。 日本のお茶のルーツとなっている方で永谷宗円(ながたにそうえん)という方がいますが、これは永谷さんの家の下の畑で有機栽培されているお茶なので、なかなか市場に出回っていないと思います。 また玉露というと窒素系の薬品を使う事が多いですが、それを一切入れなくてもこれだけ甘いお茶ができるんです。茶葉は、綺麗な水源と寒暖差がすごく大事ですね。 水出し茶に関しては日替わりメニューで用意しています。特別なものや水出しのものなどは時間がかかるので限定にしていますが、通常のものであれば特に制限なくご提供する予定です。

◆甘くないスイーツ!?稀少なカカオ「クリオロ」をかけて頂く抹茶

これは抹茶に、カカオを削ってかけたものです。スイーツみたいな感じで飲んで頂けると思います。 「お抹茶自体もとても美味しいですが、カカオと一緒に飲むとまた違う味わいになりますね。とても美味しいです!スイーツのようですが甘くないですね。」 砂糖を入れていないので原料そのままです。抹茶とカカオの組み合わせはありそうで無いと思います。カカオの品種は「クリオロ」というもので、ちょっとフレッシュな酸味があります。クリオロ種は主にチョコレートに使われている原料ですが、稀少な品種で高価なものです。 アマゾンの料理人と言われている太田さんという素晴らしい料理人さんがいらっしゃいまして、その方が監修する最高のカカオを使わせていただいております。

◆現代人のミネラル不足を考えたミネラル豊富なおむすび。

お米は熊本県、前田さんが作るミネラル豊富な『みなみにしき』ササニシキ系譜です。『晩生品種、長かん』という特性のある稲で、収穫時期が2週間ほど遅く、その分大地のミネラルを多く含むお米なんです。 味はあっさとしていて優しい味わいなんです。優しく感じるのは、お米を口に運び咀嚼し飲み込むと、スルスルと喉越しが良く、ストレスが無い事から体に優しく、とても元気にしてくれるお米さんです。ちなみに、コシヒカリの特徴は早生品種、短かん。甘くて粘りがあるお米ですね。 おにぎりは冷えていないと握りにくい事もあり、秋田杉のお櫃に入れて一度蒸らします。お櫃自体が呼吸をしているので、ごはんがすごく良い塩梅になってくれます。秋田杉の香りもご飯にのりとても美味しいお米です。 おにぎりに使う塩は自家製の抹茶塩を使っています。沖縄の沖合2000メートルの海水から摂れた塩を出汁で煮詰め、抹茶をあわせて炒ってつくりますが、すごく美味しいですよ。おにぎりは抹茶塩だけでも美味しいですが、海苔の代わりに小松菜を巻いています。京都のほうじ茶と一緒に是非食べてみてください。
「お米自体もとても美味しいですし、フワっとして美味しい!小松菜も合いますね。抹茶塩がとても効いているのに、不思議と優しいお味に感じます。」 昔ながらの「かあちゃんのにぎったおむすび」みたいな感じはありますよね。現代人は偏ったミネラルの取り方をしている方が多いと思いますが、このお米と塩ならミネラルバランスも良いと思います。 「つけあわせの沢庵も歯ごたえもあり美味しいですね!」 九州産、無添加沢庵です。このほかに北海道根室産トキシラズを使った鮭抹茶漬けもあります。普通のお茶漬けを食べている時、最後のほうはお茶が白濁して美味しくなくなるのが嫌だったので、濃い目に抹茶を入れ、昆布出汁で割って食べます。これも「美味しい」と「健康に良い」という2つがマッチした、珍しいメニューだと思います。 おにぎりが10セット、抹茶漬けは5セットの限定で用意していますが、どのメニューもあまり手を加えてしまうと素材の良さが消えてしまうので、基本的にはシンプルで、身体によいものをご提供するように心がけています。

◆外食ばかりだった食事を、添加物&グルテンフリーの食事へ改善

「こういった有機栽培のお茶や、天然の素材にこだわった、カラダに良いごはんのお店を始めようと思われたきっかけを教えて頂けますか?」 元々アパレルの企業に勤めていて、その後10年間位自分のブランドのアパレル会社をやっていました。東京と京都にお店を出していたので、京都で宇治茶に出会い、お茶に魅せられたのがきっかけです。 関東では静岡茶や狭山茶が多く、京都のお茶ってあまり飲まないですよね。京都のお茶は色が薄くて上品な味なんです。京都のアパレル店舗では、有機栽培された美味しいお茶を販売したりしていました。今も茶葉の販売は続けています。 その頃は全て外食の生活で、独立した頃は65kgだった体重が75kg位に増えてしまい、人間ドックでも色々とひっかかっていたので、これはまずいなと。 そして2年前位から妻の肌の調子が悪くなってしまったんです。妻は幼少期からアトピー性皮膚炎の体質で長くステロイドを使った治療をしていましたが、ステロイドを抜くという事になり、食生活を改善する必要がありました。それから購入する食品は、必ず裏の成分を見て買うようになりましたね。
健康には適度な運動、良い睡眠、良い食事は大事だと思っていて、なかでも血となり肉となり骨になるのは食ですよね。3歳から5歳までの間に食べるものが特に大事で、大人になってから食生活を変えるのは難しいと言われますが、この時期に甘いものをたくさん食べた場合は身体が糖化しやすくなってしまうそうです。 日本は長寿大国と言われていて、和食も無形文化遺産に登録されましたが、実は健康寿命が世界に比べて短いです。添加物とグルテンを摂らないようにして、お茶や米中心の日本人らしい食生活にしました。食生活を改善しただけですが、僕の体重も70kgに減り、検査などでもどこも悪くなくなり、全く体質が変わりました。 ただ今の日本では外食にしろ、コンビニで売っているものにしろ、添加物とグルテンが入っていないものを探そうと思っても難しい状況です。でも便利さや手軽さを求めずに、少し手間やお金をかけて良い食を選んだり、つくったりする事が、身体の健康にも、心の健康にも良い事なんじゃないかと思うんです。 そういった経緯で、無添加のお茶をメインに、身体に良い添加物&グルテンフリーの食事を提供する店をやろうと思いました。

◆自店舗を持つ事へのきっかけとしても。悩まずにまずは間借りを

「福籠(ふくろう)という店名の由来は、あの鳥のフクロウの意味でしょうか?」 『福を籠で閉じ込める』という日本の言葉遊びでとても縁起の良い言葉です。デザインしロゴとして使用しています。 「お店を始める際、軒先レストランを使った間借り営業にされようと思ったのは?」 お店をやろうと思い鎌倉と代々木上原・代々木八幡界隈で探しましたが、新しくお店をつくるにはなかなか良い場所が無かったんですね。軒先レストランが面白いと思ったのは、少人数でやっていく上で、新規でも良い場所が借りられ、周囲にお客さんもいるという場所の選択肢があった点です。 月単位で借りられ、煩わしい事もなく、お試しという形で自分がやりたい事にチャレンジできるというのもいいなと思いました。 お店の場所ってすごく大事で、本来であれば地域に住まわれている方が足繁く通ってくれる場所だと思うので、1ヵ月単位で変わってしまうのは勿体無い場所とも言えるし、どっちかというとターミナルでポップアップという形のほうが、本当は良いのかなと思います。 借りた後は告知の仕方なども含めてまだ難しい点もあるので、軒先レストランで借りたらPR的な部分も連動してできるようになると、さらに面白いんじゃないかな。 「アパレルで長く自店舗営業されたご経験がありますが、間借り営業をされてみて感じたことはありますか?」 営業していく上での不都合じゃないですけど、オーナーさんのやり方と自分のやり方の、ここまでという線引きが難しいなと思う事はありますね。 「本日は美味しいお茶とおむすびを有難うございました。最後に、これから間借りを検討されている方にメッセージをお願いします。」 飲食で成功するのは難しいので悩む方もいると思いますが、最終的に自分でお店を持つという形にもっていく、そのきっかけとして、間借りから始められるのはチャンスです。飲食店をやりたいと悩んでいる方は、まず行動して、実践してみるのが良いのではないでしょうか。

■店舗情報
お茶とおにぎり、時々抹茶「福籠(ふくろう)」
東京都渋谷区上原1-1-20
営業時間:不定休(日・月休)
■軒先レストラン
軒先レストランとは、飲食店の使われていない時間を間借りできるサービスです。
これから飲食店をはじめたい開業希望者が、既存の飲食店の空き時間を利用して開業できる間借りレストラン(シェアレストラン)サービス。
飲食店を貸出たい方も登録して貸出することもできます。
軒先レストラン公式HP:https://business.nokisaki.com/cp/restaurant
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