昼と夜、夫婦でそれぞれ独自に間借り店舗で営業中!珍しい「間借り夫婦」の実態とは?

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恵比寿駅からほど近い落ち着いた場所にあるビアバー「HOPS125(アンドゥサンク)」。夜のみの不定期営業のため、ランチタイムは、ラムステーキカレー店「スパイス125(アンドゥサンク)」、ディナータイムはバー「Liquid Lab TOKYO」が、それぞれ飲食店を間借りして営業をしています。最大の特徴は、それぞれの店舗をご夫婦が個別に営業されている事!最近ではご自身でも「間借り夫婦」と自称しているというお二人にお話しを伺いました。

■メニューは1つ!「ラムステーキカレー」が誕生するまで【スパイス125(アンドゥサンク)】

―ひとつの店舗を、昼と夜でそれぞれ独自に飲食店を間借りして営業されているご夫妻。まずは先に間借り営業をスタートされた奥様の嶋尾明奈さんに、ランチカレー店「スパイス125(アンドゥサンク)」についてお伺いします。こちらの店舗を間借り営業することになられたきっかけは?

嶋尾さん:私は女優業を本業にしていまして、その傍ら飲食店でもアルバイトをしていたんですが、職業柄、急に撮影が入ったりすることがあって、アルバイトを休めなかったり、休まなくてはならなかったりするのが悩みだったんです。その事を、当時アルバイトをしていたこのお店のオーナーに相談したら、「お昼はこのお店は使っていないので、自分でお店をやってみたらどうか?」と言って頂いて。それが3年前位ですね。

―お店のメニュー「ラムステーキカレー」はどのように誕生したのでしょうか?

嶋尾さん:オーナーが健康志向の強い方で、小麦粉や動物性油脂を使わず、野菜だけでつくったグルテンフリーカレーを試作していて、よく食べさせて頂いていたんです。オーナーのお店もラムやマトンといったお肉を提供するお店だったので、「このカレーにラム肉を、それもステーキであわせたら珍しいんじゃないか」と思って、つくり始めました。自然な流れではありましたが、オーナーのおかげでスムーズにこれだ!というメニューが決まりましたね。

私自身は特にカレーが大好きという訳ではなかったのですが、カレーってアレンジ一つでガラッと味の印象が変わりますよね?それが面白いなとは思っていました。もともと料理は好きなので、カレーも独学で、実際につくりながら勉強していますが、実際に店舗の営業をしていくなかで、お客様とのご意見のやりとりや、自分のカレーづくりを追求していくとどんどん改良しなければならない事があって、当然ですがなかなか甘くはなかったですね。

―メニューを1つのみに限定しているのは何故ですか?

嶋尾さん:ワンオペレーションでお店をまわすことと、店舗の規模も考えると、メニューを手広く用意するより1つに決めたほうがいいのかなと最初から考えていました。

自家製キャベツのピクルスは食べ放題にしていて、オプションのパクチーや和山椒などの追加や、玄米ご飯の量の多さは細かく調整できるようになっていますが、それを確認する意味もあって、女優業を生かしてちょっとした「口上」のような形で、お客様の入店と退店の際にお声がけをさせて頂いているんです。お客様によっては印象的に受け取って頂けていたり、ご好評を頂いているようで、有難いですね。

―店舗名の一部「125(アンドゥサンク)」はオーナー店舗「HOPS125(アンドゥサンク)」由来のものかと思うのですが、どんな意味があるのでしょうか?

嶋尾:オーナー店舗はビアバーなので、オーナーによると「1にビール、2にビール、3・4が無くて5にビール」というのがコンセプトという事なんですが、アンドゥサンクという読み方はフランス語なんですよね。何故フランス語なのかというと、「3・4の部分は無い訳ではなくて、実は後ろにはワインが隠れている」という意味があって、ワインと言えばフランス語だから、だときいています。

■女優業だけでなく、育児の助けにもなっている「間借り」ならではのメリット

―実際に間借り店舗運営をする中で、良いなと感じる点はありますか?

嶋尾さん:女優業をしている上でもそうですが、まだ小さい子供がいるので、病気などで急遽子供を迎えに行かなければいけない時があります。そんな時は、やはりお客様には申し訳ないのですが、お店を自分の判断で休業できるという点でしょうか。実は、子供ができたとわかったのはこのお店を開店する1か月前位だったんです。

色々な不安はありながらお店をスタートしましたし、勿論大変なこともありましたが、初期費用や賃料など、間借り店舗スタートならではの助かる点も沢山あって、今のところ上手くお店を続けることができているかなと思います。

■量り売りの酒屋営業のほかに、バーの間借り営業をスタート【Liquid Lab TOKYO】

―ご主人の小菅一範さんにお伺いします。奥様の嶋尾さんが間借りされている「HOPS125(アンドゥサンク)」を、ディナータイムに間借りし、バー「Liquid Lab TOKYO」を開店されたばかりですね。(2018年8月開店)

小菅さん:私は恵比寿駅の近くで「Liquor Shop NIGHT OWL」という量り売りをメインにした酒屋をやっていまして、元々物件オーナー店舗もその顧客だったんです。最近は特別なお客様のため、たまにしか営業をしていないのを知り、それなら不定期にはなるけれども、貸してくれませんか?とお願いしたのがきっかけですね。

妻が既にランチ時間に間借り営業をしていましたし、酒屋としての繋がりもあったので、オーナーには安心して貸して頂けたのだと思います。また物件がビアバーなので、樽生銘柄をサーバーへつないだままにできたのはありがたいですね。

―独自店舗の酒店もご自身で開店されたのですか?

小菅さん:はい。代々酒屋だった訳ではなくて、『グラウラー』と言う耐圧専用容器を用いた酒類のサーバーからの量り売りがしたくて自分が始めた店で、今年で5年目になりますね。お酒自体が大好きなので、樽生のビールやワイン、シードル以外に、ウイスキーやアブサン、ラム、ジン、ウォッカ、シェリーなどの量り売りもしています。酒屋を始める前は、番組やウェブ、動画関連等をはじめとしたナレーションの仕事をしていました。偶然にも妻の女優業と少し類似点があったかもしれませんね。今でも依頼があればナレーションもやっています。

■珍しいホップや発酵飲料のオリジナルカクテル!自分でつくるジントニックも

―バーではどのようなお酒を提供されているのでしょうか?

小菅さん:日本を始めとした世界各国の樽生クラフトビールが6種類、あとは樽生のシードルや、他にはあまり無いオリジナルカクテルを提供しています。例えば「コンブチャ」という発酵飲料を使ったものはかなりおすすめで、妻の店でも提供してもらっています。

また長野でホップを自社畑栽培しているのですが、そのホップを使った水出しのハーブティー「ルプリンジュース」は珍しいと思いますので、これは多くの方に是非一度味わって頂きたいですね。ハチミツのワイン「ミード」は、特に女性に人気があります。

あとは、ホッピー形式で「自分でつくるジントニック」というメニューもご用意しています。ジンは日替わりで10種類位あって、それをトニックやソーダ、ジンジャーエールやジンジャービールなど、お好みのもので割って飲んで頂く形ですね。量などは全てご自身で調整できるので、例えばソーダが余ったら他のジンを少し下さい、トニックを使いすぎたからソトだけ追加で!等という形で自由に飲んで頂く事ができます。

―おつまみ的なものは、どんなものがありますか?

小菅さん:イベリコ豚ベジョータの生ハム、マスカットのレーズンやチーズ、ナッツ、スパイス入り粒チョコレートなどを用意しているほか、フリーのイタリアンのシェフと提携しているので、シェフがいる日でしたら本格的なイタリアンもお出しできるようになっています。

お酒もおつまみ類も、基本的に酒屋で販売しているものを提供しているので、気に入って頂けた場合は購入頂けます。酒屋とバーでお互いに宣伝もしている形ですね。

■「間借り夫婦」ならではの助け合い

―お二人にお伺いします。ご夫婦でそれぞれ間借り店舗を営業されていてよかった点はどんな事ですか?

小菅さん:二人で一緒に店をやっている訳ではないので、お互いの店の事で口を出さない領域はありますが、ちょっとした部分では助け合っていますね。例えば買い出しついでに何かないか聞くとか、足りなくなってしまったものを持っていくとか。自分の場合は酒屋を開店するついでに「スパイス125」の路上看板を、宣伝も兼ねて開店前に先に出しておいたり。

嶋尾さん:酒屋も主人のワンオペレーションなので、酒屋の終業時間とバーの開店時間が被る事があったら、私が酒屋の締め作業をしに行ったりもしています。あとはビールやコンブチャのカクテル、ノンアルコールドリンクなどを、ランチの時にお得に提供したりとか。

小菅さん:完全に一人で間借り運営をする場合よりも少し余裕はできるのかな。またお互いの店に関わりすぎていないからこそ、少し引いた視点でお互いのお店の評価もできるので、そういった意見やアドバイスができるのも良い点のひとつかもしれませんね。

―それでは最後に、間借りでお店の開業を検討されている方にメッセージをお願いします。

小菅さん:これからお店を持とうという場合に、心理的・経済的ハードルが下がるのが間借りの良い所かなと思います。自分の店である酒屋のほうで使っていない時間帯があるので、オーナー店舗としてどなたかにお貸ししたり、何かできないかなと考えている所なのですが、今はそのようにオーナーさん側の間借りに対する認知度も上がってきていますよね。軒先レストランのような間借り先を探せる便利なサービスもできさらに実践もし易くなっているのではないでしょうか。やりたい事やビジョンがある方は積極的に間借りを活用して、オーナーさんとの信頼関係を築き、お互いに長く続けていけたらいいですね。

嶋尾さん:今ってとても多様性がある社会だと思うので、飲食店は勿論、他にもいろんなお店や業務形態で間借りという仕組みが利用されるようになって、活性化していくと良いですよね。間借りで実際に営業してみると、その地域との繋がりができます。例えその場所では閉店してしまったとしても、人との繋がりは残るので、それも大きな人生の財産になるんじゃないでしょうか。私も女優業のほうが忙しくなっても、このお店には時間をつくって立ち続けたいなと思っています。これから何かやってみようかな、何か自分にできる事がないかなと思っている方には、間借りという形でのスタートは本当におすすめですね。


■店舗情報
・SPICE125(スパイス アンドゥサンク)
blog:http://spice125a.hatenablog.com/
SNS:Facebook

・Liquid Lab TOKYO
SNS:Facebook Twitter Instagram
住所:渋谷区恵比寿1-21-18 ライツ恵比寿 1F
TEL:070-5455-7630(Liquid Lab TOKYO)

・Liquor Shop NIGHT OWL
HP:https://night-owl.jimdo.com/
blog:http://night-owl-ebisu.hateblo.jp/
SNS:Facebook Twitter Instagram
住所:渋谷区恵比寿1-8-3 恵比寿リバストーンハイム 103
TEL:03-6277-3743

各店営業日時はWEBサイト、各SNSにてご確認下さい。