「鮨職人の実践の場を作りたい」シェアレストラン出店事例

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日本を代表する食文化「鮨」。職人によって作り出される作品は、同じネタを使ってもその技によって様々な作品に変わり我々を楽しませてくれる。

我々を虜にする職人を育てている鮨店では、修行期間中にこんな問題が起こっているのはご存知だろうか?

伝統的な鮨店の職人は、修行期間中に魚に触れる機会が少なくなり、現場での実戦経験が不足してしまうケースが多く起こっているそうだ。

日本の伝統的な食文化を守るため、問題解決に取り組む一人の職人を今回はご紹介しよう。
ヤドカリ寿司魚伸オーナーの八代さん

埋もれている職人の卵の為に、実践の場を作る。日本の食文化を支える未来の職人の為の「修行鮨店」の計画を模索している。

実はオーナーの八代さん、神田に実店舗の出店を計画している。神田は鮨店の激戦区となるが、同じオフィス街の西新宿の鮨店での経験をもとに、激戦区の神田でも戦えると判断して出店計画を進めている。

実店舗の出店を計画している職人がシェアレストランで出店した理由とは?

「3ケ月後に開業予定ですが、その間にも握っていないと私自身の腕が錆びてしまうと考えていたところ、インターネットで軒先レストランと出会ったのがきっかけです。軒先レストランでは、様々な間借りできる飲食店がありましたが、今回選んだのは水天宮駅近くにある居酒屋さんです。なぜこの場所を選んだかというと、水天宮はランチの強いオフィス街で仕入れ先の築地にも近く、これから出店する神田と条件が似ているからです。」

実店舗の開店までの準備期間中に実店舗の環境と似ている条件で出店ができる、初期費用が掛からない、シェアレストラン特有の出店方法ではないだろうか。

今回のシェアレストランの経験で新人職人を救うヒントをもらった

「実践の場が欲しい職人には、シェアレストランでの出店方法は最強の環境と修行の場となるのではないでしょうか?、修行中のお店では実際にお客様を相手に鮨を握ることは難しいですが、シェアレストランならそれが可能になりますね。」

伝統的な鮨店の中には昇格の仕組みがあり、鮨を握るまでとにかく時間がかかる例が多い。

「私はすしアカデミーで勉強しましたが、アカデミーでの2か月間は鮨店での修行期間3年の価値と言われています。同期は20人程いましたが、卒業して鮨店で修業をするも満足に魚に触れることなく、くすぶっている人も多いですね。」

鮨店の大将は厳しい環境で自分たちは鍛えられたので、弟子にも同じく厳しい環境で育てる傾向がある、それが今までの経験で、一流の職人を育ててきた一つの教育方法なのだろう。

「当然魚を扱わせてもらえないので、休日に自費で魚を購入して練習します。商売には忍耐力や強い気持ちも大事なのもわかりますが、挫折して職人の道を諦めた方も大勢います。」

「職人を育てる方法に正解はないと思うが、実践の場を求めている若手職人が多いのも事実です、まずは自身が新しい仕組みの礎となるため、シェアレストランを成功させたいです。」と八代さんは力強く語った。

鮨職人の修行の場として運営する「ヤドカリ寿司魚伸」とは?

毎朝、築地で新鮮なネタを仕入れて店で仕込みをする本格派にもかかわらず、採算は度外視して、原価に近い価格でお客様に提供しているのが特徴である。

「職人の育成がコンセプトなので、多くのお客様へ提供しないと意味が無いです。その点オフィス街は、持って来いの環境ですね。それは利用者が「低価格」で「スピード重視」また「専門性が高い」お店を好む傾向があるからです。」

なるほど、新鮮なネタを低価格で味わえる、修行中の職人とはいえコストパフォーマンスは最高だ!サラリーマンにとっては有難い。口コミで話題になれば、人気の行列店になるのではないだろうか?

「まずは自分でロールモデルを作ってから、ゆくゆくは若手職人の育成の場として職人に任せたい。」と八代さんは語っていた。

シェアレストランで投資をかけずに原価をかける、そんな薄利多売の成功事例となるだろう。
気になる「ヤドカリ寿司魚伸」の名前の由来は、大阪のヤドカリカレーをヒントに「ヤドカリ寿司魚伸」と名付けられたそうだ。

シェアレストランとの出会いで今後の展望が変わった

「現在シェアレストランで運営している水天宮の「ヤドカリ寿司魚伸」そして実店舗で運営する神田を成功させて、多店舗展開をしたい、そのあとは、子供が大きくなれば、奥さんと海外を回りながら、日本の食文化を海外の方々に伝えられるようになりたいです。海外で鮨を握って日本食をもっと知ってもらい、喜んで頂きたいです。」

「若いころからバックパッカーをして、海外とのリンクが人生のテーマでした。食はわかりやすいし、和食、それも鮨は海外の方には馴染みやすい。ラーメンや居酒屋も海外では人気ですが、参入障壁が低く過当競争になります。その点、鮨は伝統食であり、新規参入が難しいとされていますので、チャンスと感じました。」

このシェアレストラン事例は今後、鮨業界のスタンダードになるのか

八代さんはワイルドな風貌とは裏腹に、過去に社労士事務所の経験があり、理論整然と話をしている姿が印象的でした。彼が考えている間借りシステムを利用した「鮨職人への実践の場の提供」は、職人システムの現状を知ると、必要とされているサービスであり、もしかしたら、この業界に革命を起こせるかもしれません。


ヤドカリ寿司魚伸
・住所:東京都中央区日本橋蛎殻町1-37-9 ライオンズマンション
・間借り店:大衆酒場げん
・営業時間:11:00~14:00 日曜定休