【特別寄稿後編】カレー​おじさん\(^o^)/からの警鐘【間借り営業について】

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初期費用が節約でき、気軽に始められるのが「間借り」という業態の良い所です。飲食店で長年修業を積んできたという方でなくとも気軽に開業でき、だからこそ他に無い面白い料理が生まれるということもある一方で、ちゃんと修業を積んできていないせいで飲食店を営む人間としてはごく当たり前な常識が抜け落ちたままお店を初めてしまう方も時折いるようです。

僕はカレーを食べ歩く専門で、現在は自分で作ったりはしていないのですが、実は過去に飲食店で働いていた経験があり、調理師免許も所得しています。そんな僕から見て、危なっかしいなと思うお店が時折あります。

常々言っていることですが僕は間借りカレー店を応援しています。だからこそ、その業態、業界をもっと盛り上げたいからこそ、気をつけて欲しいことが少なからずあるのです。

今回は間借りカレーに限らず、飲食店で修業経験が無かったり、調理師免許を持っていないまま間借りで開業したという方、全てに読んで欲しい内容となっています。

修業された上で間借りカレー店を営んでいる方や、調理師免許を持っている方にとってはわかりきったことばかりになるかと思いますが、その場合は自分の周りにいるわかっていないで営業している方に、この文章を届けてください。
まずそもそも間借りというのがグレーな業態だということは認識していますでしょうか?

法的に完璧な状態で間借りをしている方ももちろんいらっしゃいますが、そうでない方も少なからずいるように感じています。

不動産に関する法律的にもそうです。本記事を運営しているシェアレストランを介したお店はその点のチェックとケアがしっかりしているので心配はいりませんが、そうでない方はもう一度法的にその借り方がOKなのかどうか確認した方が良いでしょう。

口約束で借りているとなった場合、万が一間借り主が火事や食中毒などの事故を起こした時にその責任を誰がどうとるのか、最低限そのあたりの確認は必要です。

      間借り契約の一例
      間借り保険の一例


そしてその食中毒に関して。これが一番気を付けないといけない部分です。
厳密に言えばお店で出す料理は全て最初から最後までそのお店の調理場で調理しないといけないのですが、それを知らないで間借り営業をしている方が少なからずいるようです。家で仕込んだものを持ってきて温め直す。実はこれ、法的にはアウトなのです(保健所から営業許可を受けた時点での内容によるので例外もあります)。

あるいは最近増えている冷凍カレーの通販。これも実は厳密にいうと、保健所による飲食店営業の許可のみではNGで、別にそうざい製造業の許可も得ないといけないということをご存知でしょうか?

基準はかなり厳しく、小さなお店の場合はほぼその基準を満たしていないと言えるくらいで、冷凍カレーを作りたいのであれば、それ専用のキッチンを最初から作らないと難しい場合が多いのです。

とは言えあの店もこの店も小さいし間借りだけど冷凍カレー通販しているじゃないか! と思う方もいるでしょうが、コロナ禍で飲食業界が大打撃を受けている今だから、政府が大目に見てくれているというだけなのです。

みんながやっているから自分もやって良いというわけではありません。背に腹は代えられない状態だからこそ、国が大目にみてくれているのだから、その中でやりたいというのであれば食中毒などには最大限注意しないといけないのです。これは料理を作り、それに対してお金をいただく人間の最低限の義務なのです。

正しく勉強や修業をして調理師免許を取った人でなくともできるのが飲食業。食品衛生責任者の資格は講習会を受講すれば得られるのですが、この講習会で全てを真面目に聞かず、半分寝ていたなんて話も時々聞きます。これではダメです。
飲食業というのはお客様の健康に関わる仕事。下手すると出した料理で人が死ぬことすらあるのです。そうならない為にも最低限の知識と、日頃からの注意が必要です。

人を幸せな気持ちにさせるような美味しいものを作りたいという気持ちは飲食業に携わるほとんどの方が抱いていると思いますが、自分の不注意や知識不足で人が死ぬということになるのは、幸せの真逆です。
さらに言えば昨今増えているテイクアウトについても気を付けないといけないことだらけです。

基本的に生モノは入れるべきではありません。時間が立てばその分食中毒の原因となる菌は増殖し続けるのです。持ち帰って再加熱することを前提にしてはいけません。持ち帰った方の家に電子レンジが無い場合もあります。冷えたものを面倒だと言ってそのまま食べる方もいるのです。

「普通そうはしないでしょ!」と思う、その普通はあなたの普通であり、お客さんの普通ではないのです。10人いたら9人はそうするということもあるかもしれませんが、そうしないで予想外のやり方で食べる1人がいるということを忘れてはいけませんし、そのような人のことも考えてテイクアウト用の料理を作るべきなのです。

また、レンジ対応容器なのかそうではないのかがわかりにくい場合も多々あります。これは間借りのお店に限らないことですが、テイクアウトしてレンジ対応だと思ってレンジにかけてみたら容器が溶けてしまい、せっかくの料理を食べられなくなってしまったということも僕自身何度かありました。

お店でならお客さんが食べるのが自分の目にも見えるでしょう。しかし持ち帰って食べるところを見るわけにはいきません。そこで何があるかわからないのです。

テイクアウトなら、その容器はレンジ対応なのか否か、レンジ対応だとしてもいつまでに食べないといけないか、レンジ対応容器だとしてもその中にアルミの小分けの器が入っていたりしないか… 気を付けないといけないことは山ほどあります。


何度も言いますが、あなたの常識が全ての方の常識ではないのです。
お客様を守る為にも、そしてお店を営業する己自身を守る為にも、詳しく説明を書いた紙などを作り、一緒に入れておくことはしておいた方が良いでしょう。
そんなことは面倒だ。自分はただ美味しい料理を作り、それを食べて欲しいだけなんだ。という方、あなたは飲食業に向いていません。

飲食業というのは美味しい料理を作るだけではなく、お客様の安全と健康にも気を配る仕事なのです。

ただ美味しい料理を作って食べて欲しいだけなら趣味の範囲で自宅などで友人に振る舞えば良いのです。


美味しい料理を作れる人はアマチュアでも山ほどいます。近年は優秀なレシピがインターネットで簡単に手に入るようになり、そのまま作ればそれなりに美味しいものになるわけですから。友人に食べさせて「美味しい! お店できるよ!」なんて言われたからと言って調子に乗ってはいけません。その友人の美味しいという言葉に嘘は無いかもしれませんが、お店を営むという事に関してはわかっていない場合がほとんどです。

美味しい料理を作るということ以上に、まず先にお客様の安全と健康に留意する。これが飲食店を営む人間のあるべき姿です。その後で美味しいかどうかです。そもそも美味しいというのは人それぞれの感覚ですから、自分が美味しいと思っても他人が同じように美味しいと思うかどうかはわかりません。

しかし、安全と健康を守るということは気を付ければ誰でもできることですし、味とは違って誰に対しても同じようにすることが可能なのです。

衛生面は正しい知識を得てそれを確実に実行しさえすればほぼ100%問題は無いでしょう。

アレルギーの有無もあるでしょうからそれについて書いたり伝えることも重要です。

何かあってからでは遅いのです。そして、もし何かあった場合、自分が店をやめれば良いだけではありません。例えば間借りカレーのお店から食中毒が出たとなれば、そのお店をやめたとしても「間借りカレーは危険」という噂が消えることは無いでしょう。そして間借りカレーのみならず、他の間借り業態の飲食店や、さらには独立店舗を運営するカレー店まで、思っている以上に大きな業界に迷惑を及ぼすことになるのです。

まだまだあります。SNSの使い方についても注意すべきことは山ほどあります。Twitterなどで飲食店のアルバイトがお店の食材を使って悪ふざけをした動画を投稿し、バカッターなどと呼ばれて大問題になった事件を覚えていますでしょうか?

あれも飲食業としての責任感まで持っていないアルバイトだからこそ起きた事件ですが、間借りのお店の方でごく稀にですが、それはダメでしょうと思う投稿をしている方を見かけたこともあります。

食材や厨房を雑に扱う投稿、少しでも不衛生を連想させる投稿は見ていて気持ちの良いものではありません。

そのくらい気にするなと思うかもしれませんが、その感覚が危険なのです。衛生面は気を付けすぎるくらいに気を付けて、まだ足りないと思うべきなのです。
飲食店で修業を積んだ方も、最初は知らないことばかりだったのを、先輩や師匠から怒られ、注意され、少しずつ学び、わかっていくものです。

飲食業経験の無い方はそのように怒られた経験も無いので知らないだけなのでしょう。だからこそ僕はその先輩の代わりにこの文章を書いているのです。
飲食業において、衛生面での無知は罪です。

たった一店舗の失敗が業界全体に影響を及ぼす可能性を想像できなくてはいけません。

これを読んで知らない事ばかりだったという方、今からでも遅くありません。勉強してください。それが嫌ならお店をやめてください。

厳しい言い方ですが、それくらいの覚悟が無いと飲食業に携わってはいけないのです。

せっかく面白く盛り上がってきている間借りカレーという業態。僕はもっと盛り上がって欲しいと思っています。だからこその苦言でした。

最後にもう一度。飲食業は、人の生き死にに直結する仕事です。気を付けすぎるくらいに気を付けて、まだ足りないと思って、日々の営業につとめてください。
前半も是非、ご覧くださいませ!