総務省の発表(※1)によると、あらゆる産業の中で廃業数が圧倒的に多いのが飲食店であり、年間5万5千店が廃業しています。背景には、採用難や経営者の高齢化、後継者不足があると言われています。一方で、飲食業は開業希望者の多い業界でもあり、その数は15万人もいると言われています(※2)。ただし、実際に開業できたのは16%程度であり、資金不足や失敗時のリスクが主な理由です。また、飲食業は参入障壁が低く競争が激しいため、せっかく融資を受け出店しても、事業が軌道にのらなかった場合、一度失敗をしてしまうと、その投資の大きさから再挑戦することが困難な状況です。
※1出典:総務省平成21年度経済センサス全産業廃業事業者数
※2出典:中小企業庁「2017中小企業白書」起業希望者および総務省「平成24年経済センサス」飲食業の開業実績

そんな状況下、後継者不足で閉店してしまった伝説の名店 「早稲田メーヤウ」が熱烈なファンによる間借り営業を経て復活オープンした模様をウォッチ致しました。

「早稲田メーヤウ」とは?

かつてのメーヤウ
早稲田メーヤウは1997年に開業し、21年もの間、早大生に愛され続けてきました。多い日では、1日に300食以上も売れる人気のカリー店でした。繁盛していたにも関わらず、店長の体力的な問題もあり営業継続が困難となり、2017年3月に一時休業致しました。

復活までの道のり

高円寺での間借り営業時の大行列
「あの味を絶やしてはいけない」
メーヤウの熱烈なファン高師さんと元店長高橋さんを中心に復活プロジェクトを結成。SNSなどで活動を告知、多くの試作を繰り返します。その模様はテレビの取材にも取り上げられるほどの盛り上がりを見せました。
2019年3月 高円寺にて間借り営業
2019年7月 門前仲町にてイベント営業
実績を積みながら、実店舗オープンに向けて、準備を進めて参りました。

実店舗が復活オープン!

20020年7/4(土)、いよいよその時は来ました。復活オープン当日はわずか2時間で100食が売り切れとなったそうです。
「今まで、SNSで繋がっていたファンと実際にお会いできたのが嬉しかった」と語る高師オーナー。現在はテイクアウトと宅配販売だけで曜日も絞った限定営業ですが、今後、パートナーや修行を受け入れながら、営業拡大していくそうです。

取材を終えて

新しい飲食店開業のカタチ

昨今の環境変化も含めてますます厳しくなる飲食店開業。高師オーナーは今回のメーヤウ早稲田復活プロジェクトに実に2年もの歳月を要しております。
会社員として働きながら、SNSで繋がったファンたちとコミュニケーションを取り、間借り営業やイベント出店、通信販売などで反応を見る。
様々な業界のツテを探りながら早稲田にピンポイントで実店舗を探す。
クラウドファンディングを成功させて、初期投資を補う。
相当の激務と思いますが、それでも成し遂げたのは高師オーナーの情熱とそれに応える高橋元店長や高岡店長、そしてファンの声ではないでしょうか。
「お店を開けてからファンを作る」のが今までの飲食店だとしたら、
「ファンを作ってからお店を開ける」
これこそが、不確実性の高い今に即した新しい飲食店開業の形と思いました。

店舗情報

住 所 東京都新宿区西早稲田2-20-5 1F
営業時間:火金土 11:30~売切れ次第終了
メニュー:チキンカリー1,000円、ポークカリー1,200円他
※完全キュッシュレスカリー店(PayPay利用)~交通系など順次対応予定
https://twitter.com/Maeyao_waseda
info@maeyao.jp