間借りの本場大阪の先駆けレジェンド店 実店舗を出店した『ナーガカリー』冨家さんインタビュー

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日本の国民食と言っても過言ではないカレーライスは、近年カレーブームと呼ばれるほどに大流行の様相を見せており、毎日たくさんの店舗で行列ができています。 カレー屋が乱立し激戦区と呼ばれる大阪市で『間借り店舗/シェアレストラン』として成功し、2018 年8月には天満周辺の食べログランキングで2位になるなど、4年にわたり絶大な人気を誇っているナーガカリーの冨家さんに、間借り店舗での成功の秘訣についてインタビューしました。

冨家さんがカレー屋さんを始めたきっかけは、なんと「簡単に作れると思ったから」

―早速ですが、冨家さんが独立したきっかけを教えてください。 「もともと食べることが趣味で色々と食べ歩いていたのですが、コーヒー・パン・ピザと 色々な食べ物が流行していくなか、5~6年ごろ前に突然カレーブームが来たんですよね。カレーはスパイスなどにこだわれば奥が深いけど、パンやピザと違って自宅でも簡単に作れるので敷居が低いじゃないですか。 それで自宅で試しに作ってみたら案外おいしくて、「これはいけるんじゃないか」と思ったのがきっかけです。」
―それでは、特にカレー屋さんで修行などはしていないのですか?
「一切していないですね。前に働いていたところは大手チェーンの飲食店だったのですが、調理といっても用意されているものをササッと仕上げるくらいだったので、料理歴もそこまで豊富ではありませんでした。むしろ今となっては修行をしたいと思い始めたくらいです(笑)」
―なるほど(笑)。では「手軽に作れる」という点からカレー屋を始めようと思ったのですね。
「はい。あとはカレーブームのときにカレー屋さんを食べて回っていると「こんなところでも行列ができているのか」と、人気の高さに驚いたことがありました。カレーブームもまだ始まって1年くらいだったので、まだまだ参入できる余地があると感じたのもきっかけの1つですね。」

シェアレストラン成功の秘訣は「人脈」から。開業資金も持たず、一か八かの開店

飲食店の開店していない時間を借りて営業する間借り店舗(シェアレストラン)ですが、間借り店舗を始めようと思った経緯は何でしょうか?
「きっかけは雑誌です。雑誌を見ていると他のカレー屋さんが間借りで店を始めたという特集が載っていて、「このような始め方があるのか」とそこで初めて知りました。 そこで知り合いのバーに「カレーを作っている」と話をしてみると、「じゃあうちでやってみる?」ということになって、とんとん拍子で開店が決まりました。5月の頭に相談して7月の頭には始められましたね。」
―それはすごいスピードですね。開業にあたって準備などはされていましたか?
「一切していませんでした(笑)。開業資金もなかったので、一か八かでしたね。準備期間は無くて、とにかく始めたほうがいいと思ったので。 そのおかげで間借りの先駆けとしてスタートできました。当時は間借りもそこまで浸透していなかったので、「いま始めたらやりやすいはずだ」と感じたのがよかったですね。」
―最初はスピード感を意識して始めたのですね。それでは、事業が成功する転機のようなものはありましたか?
「開業し始めのころは鳴かず飛ばずで、オーナーの知り合いが食べにくる程度だったのですが、2か月目に地元誌の取材が入り、その雑誌でなんと表紙を飾ることができたんですよ。そこからグッと伸びて、かなり忙しい状態になりました。運が良かったと思います。」
―なるほど。スピード重視で始めていなければ雑誌に載ることもなかったかも知れませんし、早く始めたことが成功に繋がったのですね

シェアレストランのメリットはなんといってもコストがかからない点

―間借り店舗のメリットは何でしょうか?
「何と言っても金銭面ですね。設備面もある程度共有できるのでコストがほとんどかからないですし、お金が無くても早く始められる点がいいですね。」
―金銭面で借りている店舗ともめることはありませんでしたか?
「いま間借り店舗が2件目なのですが、どちらのオーナーとも良好な関係を築けているので、特にトラブルはありませんでした。 もともと飲み友達で、まったく知らない人じゃなかったというのがよかったと思います。 いきなり知らない人に間借りをお願いしても断られると思いますし、自分が貸す側でも断ると思います(笑)」

間借りで苦労した点は「思うようにやれないこと」

―それでは、間借り店舗で苦労したことはありますか?
「やはり自分の思うようにやれない点ですね。いま借りている店舗も韓国風居酒屋から提供するものが色々と変わって内装も変わっていった。 本来であればカレーをスムーズに作れる配置は絶対あるはずだけど、それができないので少し苦労しています。朝店内のフォーメーションを少しいじって、戻してという作業を毎回やっています(笑)」
―なるほど。夜の時間帯までに引き渡すのも大変そうですね。
「そうですね。14時30分に店を閉めて、16時に引き渡す約束になっています。もちろん多少の融通は聞いてくれますが、時間的な制約も大きいです。」

今後の目標は、独立して夜の時間帯も営業すること

―間借り店舗として成功を収めているナーガカリーさんですが、今後の展望は何かお考えですか?
「もちろん独立はしたいですよ。他の間借り店舗も結局は独立していることが多いので。正直ここまで長く間借りできるとは思っていなかったです。」
―今年で丸4年も間借りとして経営している理由などはあるのですか?
「単純にお金が貯まらなかったからですね(笑)営業開始2か月目でお店が忙しくなって、すこし浮ついてしまいました。腰痛にもなりましたし、人員を増やしてコスト面でうまくいかなかったこともあります。 まあ、浮ついていたときにかなり飲みに行っていたおかげで人脈が増えて、間借りでやっていけてるんですけどね(笑)これから間借りでビジネスをされる方がいるのでしたら、コツコツと地道にやったほうがいいと思います。」
―なるほど(笑)。独立したらやりたい事はありますか?
「夜の営業がやりたいですね。ぼく自身、夜のほうが向いている気がしますので、お酒を中心に、スパイスを効かせた料理を出すカレー屋として展開したいです。最近はバー営業をしている店も増えてきましたが、まだまだ入り込めると考えています。」
―ありがとうございます。では最後に、これからシェアレストランで間借りを始めようと考えている人に対してメッセージがあればお願いいたします。
「ぼく自身は人脈の運が強かったので、間借りでも大きなトラブルも無くやってこられています。間借りをやっていても「話が違う」といってうまくいかない店の話も聞くので、間借りはいつ契約を切られてもおかしくないというリスクを覚悟してやったほうがいいですね。」
真剣なまなざしの富家さん

事業の成功には「スピード」も大切。

今回、間借り店舗の先駆けであるナーガカリーの冨家店長に、間借り店舗であるメリットや苦労した点、今後の展開について伺いました。 間借り店舗を検討して2か月で店をオープンさせ、その2か月後には雑誌の表紙をかざるなど、早いスピードで成長を遂げたナーガカリーですが、その背景には冨家さんの広い人脈と鋭いビジネス感覚がありました。 もちろん味への探求も忘れておらず、「いまでも常に修行のような感じです」と語る冨家さんは、5周年を迎える来年には独立を考えているとのこと。常に行列ができる人気店の動向に注目しましょう。 ※2020年1月独立をされました!天満から南森町へそして天神橋へ移転実店舗オープン!
また、冨家さんが指摘したように、「話が違う」とならないように、利用条件などが明文化されているマッチングサイトを利用するのも一つの手です。トラブルを回避して充実した間借りライフを送りましょう。 「シェアレストラン」https://share-restaurant.biz/