【特別編】卒業間近? 人気間借りカレー店主に聞く間借りのリアル

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左からカレーとアイスの店 かりす店主みんじゅみんじゅさん、カレーおじさん\(^o^)/、酒とスパイス マツコ店主マツコさん
左からカレーとアイスの店 かりす店主みんじゅみんじゅさん、カレーおじさん\(^o^)/、酒とスパイス マツコ店主マツコさん
4月。新生活が始まる方も多い時期。未来に対する希望も不安も綯い交ぜとなり、誰かに相談したくともなかなか状況をわかってくれるような人もおらず一人で悩みを抱えている方も少なくないでしょう。今回は特別編として、間借りカレー店を営む女性店主2人に、現在の状況や未来への展望についてなど、思いの丈を語ってもらいました。
今回お話を聞いたのは本連載でもご紹介したお二人。
・酒とスパイス マツコ
https://share-restaurant.biz/magazine/?p=9668
・カレーとアイスの店 かりす
https://share-restaurant.biz/magazine/?p=10583
※現在は記事内の場所から移転し、新高円寺で営業中(5月末まで)。

お二人に加えて僕と、シェアレストランの武重さんも加えてのクロストークです。
間借りカレー店を営む方は特に必見の内容となっていますし、食べる専門の方も、お店の方の本音を知る良いチャンスですよ。 カレーおじさん\(^o^)/(以下「カ」と表記):ではまずお二人の自己紹介と言いますか、簡単にどのような経歴なのか教えてください。
酒とスパイス マツコ店主マツコさん(以下「マ」と表記):様々なジャンルのお店で働いてきたんですが一番長いのが日本酒メインの和食のお店です。カレーのお店で働いていたこともあり、日本酒に合う料理をスパイス仕立てで作ったら面白いのではないかと思い、地元の福岡で間借りカレー店を経験した後に、東京の日本橋で2年半お店を続けています。
カレーとアイスの店 かりす店主みんじゅみんじゅさん(以下「み」と表記):私は元々OLだったんですがその頃にカレーにハマり、コロナで会社が経営不振となったのを機に退職し、好きなカレーを仕事にしてみたいと考えて様々なカレー店でアルバイトをした後、新代田のand CURRYに就職し、現在もそこで働きながら間借りカレー店を営業しています。元々は笹塚でやっていたんですが22年2月から新高円寺で営業していて、今年の5月末でそこも営業終了予定です。
カ:間借り卒業、ということは遂に実店舗ですか?
み:それももちろん考えているんですが、必ずしもすぐに独立ということではなく、一度時間が欲しかったんですよね。今の状態だと本当に時間に追われてしまっていてやりたい事がちゃんとできないと思いまして。
マ:わかります! 私も飲食店で働きながら間借りでお店もしているのでとにかく時間が無いんですよね。
み:そうなんです。今の自分の料理をもっとレベルアップさせたいと考えても、勉強したり試作を重ねていくということも思うようにできなくて。独立するにしてもお店の場所探しも難しいし。
カ:どのようにお店探しをしているんですか?
み:飲食店専門の物件サイトで片っ端から探しています。
マ:私の場合は自分が営業したいと考えている地域の不動産屋まわりをしていて、物件が出たら連絡もらって内見行ったりと、そのようにしています。
み:その方が見つかるらしいですね。
シェアレストラン武重さん(以下「シ」と表記):そうなんです。ネット情報だと割高なことも多いですし、地域の不動産屋で探す方が情報量もネット以上に持っています。あと、お二人の場合は特に不動産屋で探すのが良いですよ。
マ:何故ですか?
シ:女性は強いんです。不動産屋は男性がほとんどですから、やはり男性より女性に甘いという所が体感としてありますね。一つの不動産屋へ足繁く通って仲良くなると良い情報を得られる事が多いですよ。ちなみにお二人は初期投資の金額としてはどのくらいを考えているんですか?
み:私は500万円くらいかなと考えています。
シ:おお! そしたらすごく小さなお店ならスケルトン(内装が無い状態からお店を作ること)でもいけるかもしれないですね。マツコさんは?
マ:私も同じくらいですね。ワンオペでできる広さで内装も自分の好みとなると、やっぱりそれくらいはかかりますよね。
み:そうですね。居抜き(内装がある状態)で良い物件があればそれに越したことはないんですけど、なかなか無いものですよね。
カ:それにしても500万円は大金ですよね。どのような所で借りようと考えているのですか?
マ:国庫とか、地方自治体の助成金とか、色々調べています。
み:私は前職がそのような資料も扱う仕事だったのでわかるんですが、そういう資料ってわざと面倒にしている部分もあるんですよね。だからわかりにくいし、とにかく大変。
マ:そうですね。色々調べて資料集めて、書いていったのに最後の方で自分は助成金受けられる対象から外れている事に気づいたり。 カ:なるほど。金銭面以外で探す際の条件とか、悩みみたいなものってあるんですか?
み:私の場合はキッチンの広さを重要視しています。今はバーで間借りしていて、お店の広さ的には理想的なんですがバーなのでキッチンが狭くて。自分でお店をやる時にはストックのことや洗い場のことも考えるともっと広くないとなって。キッチン広いとお店も広い事が多く、それだと一人でやるには厳しくて。
マ:私の場合、今も探してはいるんですが、そもそも今お金をかけるべきなのかどうか、そういうところから悩んでいます。今のままずっと行くつもりは無いんですが、それにしてもいつなのか、本当に今なのか… 先程も言いましたがとにかく時間が無いのでなかなか深く考える事も出来なくて。
カ:なるほど。でも動き出さないと変わらない部分もありますしね。
み:私はそれもあって私は一度休もうと思ったんです。動きながら考えられる人と、落ち着いてからじゃ無いと考えられない人といると思うんですが、私は一度リフレッシュしてから落ち着いて考えたいなと思って。
カ:人それぞれに合った考え方、やり方で見つかると良いですね。お二人は独立後はどんなお店をやりたいんですか?
マ:店名にもなっているんですがお酒とスパイスのお店です。夜メインで、お昼は曜日限定でやるかもしれないですがとにかく夜が主体のお店。今の間借りは昼の間借りなので、場所は気に入ってるんですがそこがやりたいことと違うんです。
み:私も夜やりたいんです。もちろん昼もやりますが、夜にお酒飲んでもらいたくて。それで今もアチャールとか色々作っているんですが、なかなか気づいてもらえなくてカレーだけで終わってしまうお客様も多くて。
カ:アイスもあるし大変ですね。
み:そうですね。でも今の時代、カレーのお店も増えてどこにでもあるので、プラスアルファの付加価値がないと勝負できないと思うんですよ。うちの場合はそれがアイスだし、マツコさんはお酒ですよね。
マ:そうですね。でもオフィス街の平日昼間なのでお酒も飲んでくれる方はまだまだで。常連さんは飲んでくれるんですけど、やっぱり早く夜やりたいですね(笑)
シ:シェアレストランはご存知の通り間借りの仲介をしているわけですが、間貸し先のお店の方は皆さん昼の売り上げが立たないから間貸しするんですよ。そう考えると、既にお昼に売り上げを立てられている間借りカレーのお店が夜もやるとなると強いですね。
カ:確かにカレーのお店は昼が集客のメインとなる場合が多いですよね。場所にもよっては夜が難しいという事も逆にあるかもしれません。僕もいまだにカレー屋さんにお酒を飲みに行くと言うと「え? カレーってお酒と合うの?」って驚かれる事も少なく無いですから。めちゃめちゃ合うんですけどね。そのあたりはもっとアナウンスしていかないといけないなと感じています。やっぱりお店をやる側としてはやはりお酒を飲んでもらえれば単価も上がりますよね。
マ:そうですね。でもその分滞在時間は長くなるので、その辺りのバランスはうまく取らないといけないなと考えています。なので今のお店では予約メインなんです。
み:うちもそうです。ワンオペだと外に並びができても見にいけないので、できるだけ予約で来てくれると助かるんですよ。でも時々予約時間に遅れる方もいてなかなか…
マ:困りますよね。そういう時ってどう対応します?
み:私はめっちゃ塩対応ですよ(笑) 「お待ちしてましたー!」ってわざと強めに言ったりして。でも気づいてもらえなかったり(笑)
マ:あはは(笑)
カ:僕の場合は仕事柄急遽の予定変更もあるのでなるべく予約しないようにしています。でも予約したなら何としてもその時間にはと思っているので、このあたりは客側としてより一層気をつけねばと思いました。他に悩みってありますか?
マ:やっぱり毎日の荷物の量ですかねぇ。仕込みはお店でやるんですが、間借りなので時間が限られていますから時間短縮の為にある程度切ってから持って行ったりするとそれだけで結構な量になってしまうので。
カ:それはやはり一番よく聞きますね。器にこだわったりして持っていくと相当重くなりますし、特に女性には重いものって厳しいですよね。
み:それから抜け出したいというのが間借りやめたい一番の理由かもしれません(笑) 
マ:色々悩みはありますが、なんだかこうやって不安なまま定まっていない気持ちを吐露できる場を与えてもらえてそれだけで救われました。
み:私もマツコさんみたいに同じような立場の方と話せて良かったです。
マ:同じ立場でも目線が違ったりして気づきもありました。
カ:この記事が同じような悩みを持つ方への何かのヒントになれば良いですね。 お二人とも悩みを抱えながらそれでもしっかりと未来を見据えて行動しているのが素敵だなと感じました。間借りの良さは低予算で気軽に始められて、その分気軽に辞めることもできる所。しかし独立店舗となるとそうはいきません。だからこそ悩みも増えるのですが、やってみないとわからないことも多く、そのやってみるという部分を経験できるのが間借りの良さだと言えるでしょう。
今回は独立を目指して飲食店で働きながら自分でも間借りのお店を営んでいる女性二人でしたが、間借りにも色々な方がいます。本記事が好評であればまた違う立場の方を招いてお話をうかがおうかと思いますので、ご意見ご希望などシェアレストランのSNSへお気軽にご連絡ください。
・シェアレストランSNS https://www.instagram.com/take103103/

カレーおじさん\(^O^)/

2006年から毎日カレーを食べ続けているカレーおじさん\(^O^)/
TBS「マツコの知らない世界」ほか多数のメディア出演、カレー記事の連載、カレープロデュースまで行うカレーアディクト。
http://akinolee.tokyo/?page_id=1380
「間借りカレーdiggin’」は毎月15日に掲載いたします!お楽しみに!