間借り有名人の「サタデームルギーフィーバー」とは?

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間借りカレーの良さの一つに様々な働き方ができるというものがあります。本業がある上での趣味としての間借りカレーだったり、あるいはその間借りカレー自体も店舗を一つに決めず様々な場所で営業をしてみたりと、自由度が高いわけです。今回ご紹介する東中野の「サタデームルギーフィーバー」は毎月第一土曜の昼のみという営業形式でありながら予約で売り切れになることもしばしばある人気店。実はこちらのお店を手がけるシェフは間借りカレー業界の有名人。普段から別の場所で間借りカレー店や様々な人気カレー店とコラボをしており、TVや雑誌など様々なメディアにしばしば登場している人気店のシェフでありながら、あえて屋号も変えて顔も出さずに営業しているのです。
場所は東中野駅からほど近い居酒屋「しもみや」の間借り。以前は東中野の違う場所で営んでいたようですが事情によりこちらに移ったとのこと。この柔軟さも間借りならではです。
カウンターメインの和風な居酒屋なのですが、メニューはムルギープレート。これにトッピングをするかしないかというシンプルな構成です。ムルギープレートにティムールポークキーマを追加。アチャール3種盛りもお願いしました。
まず出てきたアチャール。イカの塩辛をアチャールにしたもの、秋茄子と高菜のアチャール、鶏ささみのレモンアチャールと、それぞれお酒のおつまみとして最高のアチャール。
メインのムルギープレートはチキンレッグがギーと一緒に炊いたバスマティライスの上にドカンと乗ります。これもシンプルでありながらも豪速球ストレート的に心にズシンと来る美味しさ。ポークキーマはスパイスカレー的で、ネパール山椒の香りと味わいが心地よく、現地料理の良さと創作料理の良さを兼ね備えたスペシャルな一皿となっていました。

店主さんに色々とお話をうかがってきました。

カレーおじさん\(^o^)/(以下「カ」と表記):既に間借りカレーを営んでいるのに別プロジェクトとしてこちらも始めたということで色々気になっているんですが、まず間借りカレーを始めたきっかけから教えてください。
サタデームルギーフィーバー店主さん(以下「サ」と表記):本業の方で大阪に勤めて住んでいたことがあるんですが、その時に通っていたバーで出てきたサバ缶で作るスパイスカレーに感動したんです。「こんなカレーあったのか! 日本人でもこういう味を作れるのか!」って。それに触発されてスパイスから作るカレー作りにハマったんです。当時の大阪は間借りカレー全盛期で、今となっては実店舗として人気のデッカオ、カラピンチャ、東京に移ってきたゼロワンも間借りカレー店でした。
カ:おお、それは凄い時代に大阪に住んでたんですね。
サ:そうなんです。間借り営業しているお店も多かったから身近に感じていて、この営業スタイルだったらサラリーマンを続けながらでもできると思い、東京に転勤になったのをきっかけに大学時代にバイトをしていたエスニック居酒屋で土曜にカレーを出し始めたのが最初です。
カ:それがいつ頃ですか?
サ:2014年ですね。
カ:というとまだまだ東京には間借りカレーが少なかった時代ですね。確かに間借りカレーが少なかった頃からやっていた印象でしたが、思っていたよりも前でしたか。僕が最初に行ったのは渋谷でやってたお店ですよね。
サ:そうでしたね。あれも結構前ですが、そう考えると長いこと続いているなと思います。 カ:渋谷のみならず色々な場所で営業しているわけですが、その名前を使わずどうしてここだけ屋号を変えて、顔出しも基本しないでやることにしたのですか?
サ:自宅が東中野に引っ越したのがきっかけです。住んでみて思ったのですが、東中野ってエスニックタウンの大久保と一駅しか違わないのにスパイスを使った料理を出すお店が少ないんですよ。この街の人にスパイスの魅力を伝えたいと思ったことが一つ。それと以前から店名を言えばその店のカレーが浮かぶような確固たる定番が強いお店をやりたかったんですが、普段の屋号だとメニューがその時その時で全然違うのでかえって屋号が邪魔だなと思ったんです。ならばということでアカウントも変えてムルギープレート一択のお店をスタートしたという流れです。また、改めて一から始めた場合、どのくらい集客できるのかなという挑戦の気持ちもありました。
カ:なるほど。そんな思いだったのですね。それで実際に営業してみて、感じたことなどあったら教えてください。
サ:狙い通り近隣に住むお客さんが増えていて「こういうカレーを東中野で食べたかった」というお声を頂いた時は、やって良かったなと嬉しく思いました。同時に「バスマティライスって何?」とか「アチャールって何?」っていう人も多くて、一つ一つしっかり教えるというか啓蒙活動していくことの必要性を感じています。自分が酒好きなのでアチャールでお酒を飲んでもらうことを推奨しているんですが、まだまだカレーと酒を合わせることに抵抗がある人が多いのだなと感じています。
カ:実際今日も予約で売切ですもんね。凄い人気だ。
サ:おかげさまで。最近はむしろメインの方より忙しいんじゃないかと思うことも多いんですよ(笑)
カ:いずれにしても忙しいのは良いことですよ。それにしても本当に色々な場所で間借り営業をされているわけですが、どのようにして間借り先を見つけているんですか?
サ:自分は飲み歩くのが好きなんですが、色々な店で飲んでいく中で店主さんとコミュニケーションを取り、自ら交渉して間借り先を見つけてきました。日々の活動を見た方に声をかけてもらったこともあるんですが、自分の好きな店、好きな街でしかやらないというのは決めています。
カ:どうせやるなら好きな場所でというのはわかります。本業もあるから尚更ですよね。では間借り経験豊富な店主さんから、これから間借りを始めようと考えている人にアドバイスなどあれば是非!
サ:これだけ世の中に美味しいカレーがたくさんある中で新しく間借りカレーをやるんだったら、どこかで見たことあるようなカレーではなく、自分はこれにこだわっているという気持ちが感じられるようなカレーを出して欲しいですね。あとは飲食を生業としている人たちと同じお金をお客さんからもらう事がどういう事なのかをしっかり意識して欲しいです。ここは自分も気をつけています。 今も本業はサラリーマンとして、本業が休みの土日祝に間借りカレー店やカレーイベントに参加するなど、精力的に活動している店主さん。既にファンも多く、僕もその一人なのですがメインのアカウントではこちらのお店のことは書いていないので僕自身サタデームルギーフィーバーに気づいたのはスタートしてからしばらくたってからのことでした。
本業でインドやバングラデシュに行く事も多い中で身につけた現地料理をベースに、趣味の飲み歩き、食べ歩きで出会った料理にヒントを得て工夫を加えたその料理は、多くの人気店とコラボしていることからも実力のほどがうかがえます。
間借りカレー人脈も非常に広い方ですから、これから間借りカレーをやってみたいという方は相談に行くのも良いでしょう。それと関係なく、ただ単純に美味しいものを食べたい方も是非行ってみてください。

店舗情報

店 名  サタデー ムルギー フィーバー
住 所  東京都中野区東中野1丁目52−18ひがし中野しもみや内
営業日  毎月第一土曜日だけ営業
営業時間 11:00〜15:30(15:00.L.O.)
Instagram https://www.instagram.com/saturday_murghi_feever/

カレーおじさん\(^O^)/

2006年から毎日カレーを食べ続けているカレーおじさん\(^O^)/
TBS「マツコの知らない世界」ほか多数のメディア出演、カレー記事の連載、カレープロデュースまで行うカレーアディクト。
http://akinolee.tokyo/?page_id=1380
「間借りカレーdiggin’」は毎月15日に掲載いたします!お楽しみに!