間借りカレー文化が根付きつつある日本のインドで進化する若きシェフ「カナマカナン」

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東京において間借りカレー激戦区はどこかというとかつては新宿ゴールデン街でしたが、2022年4月現在は高円寺もあげられるでしょう。
今は業態変更しているのですがかつて「豆くじら」が日替わりで店主が変わる間借りカレー店という形を取っていたこともあり、間借りカレーが育つ土壌があった場所とも言えます。
数多くの間借りカレー店がある中で、僕が特に美味しいと感じているお店のひとつが「Khana Makanan(カナマカナン)」。
2021年3月から「でんでん串」で週一回の間借り営業中ですが、2022年3月に屋号を「カナマカナン」に改め、名前のみならず進化を続けている若きシェフのお店です。 細く急な階段を登った3階にあるお店は駄菓子屋のような雰囲気も感じる居酒屋。
キッチンにはネパールのトビー(帽子)を被った小松シェフが一人でお店を切り盛りしています。 いただいたのはチキンと本日の魚介カレーの2種があいがけになったダブルカレープレート。
ご飯の上に骨つきチキンのカレーがドンと乗り、ご飯の横に海老カレーの海が広がるという一皿。
食べてみるとチキンはインドカレー的、海老はマレーシアカレー的でありながら、どちらのカレーにも他の国の料理の要素が入っていて、どこの国だかわからないけどとにかくアジアであり、確実に美味しいカレーとなっているのが素晴らしいです。
何かの真似ではなく、あくまでオーセンティックな料理を軸としてブレることなく、そこに他の要素を加えたハイブリッドでありミクスチャー。
実に面白く、美味しいカレーです。

夢中になって食べ終わった後に小松さんに色々と聞いてみました。

カレーおじさん\(^o^)/(以下、カ):いやー、美味しかった! 個性あって素晴らしい!
小松さん(以下、小):ありがとうございます! イベントで食べていただいた以来ですよね?
カ:そうですね。青山であった間借りカレー店が集まってあいがけプレートを出すイベント以来かな。あの時も小松君のカレーが際立って美味しいと感じてましたが今回さらに進化を感じましたよ。
小:ありがとうございます! 嬉しいです!
カ:小松君は当時「カレー百姓」というカレーネームで活動してましたが、今回屋号変えたのはやっぱりTVとかの関係ですか?
小:はい(苦笑) 僕自身はまったく差別意識無く使っていたし、カレー活動をし始めた時は農業もしていたんです。だからこその愛着ある名前だったのですが、百姓はどうやら放送禁止用語のようで。
カ:そうなんですよね。歴史用語でもあるし普通に使われてもおかしくないと個人的には思ってますし、言葉狩りみたいに感じるところもありますが、それで嫌な思いをする方もいるとすればいたしかたないことかもしれませんね。それでカナマカナンに変えたということですが、これはどういう意味ですか?
小:カナはインドの言葉で食事、マカナンはマレーシアの言葉で食事という意味です。どちらも食事なのですが語呂が良いなと思ったのと、自分の料理に合っていると思ってこれにしました。
カ:ぴったりですよ! チキンはインドっぽいけどタイの要素も入ってたり、海老はほぼマレーシアだけどインド的な部分があったりして、実に面白いです。インド系マレー料理のナシカンダールのようだなとも思いました。それにしてもこういう料理をどうやって作れるようになったのですか? 小:元々は家の近所にあったインネパ店(ネパール人シェフによるインド風料理のお店の通称)でカレーにハマったんです。そこからより本格的なカレーを求めて食べ歩くようになりまして、食べて気に入ったものをYouTubeで検索してレシピ動画を見ながら作るようになりました。
カ:最近YouTubeで料理覚える人多いですよね。ということはつまり独学ということですか。
小:基本的には独学なのですが、今は八丁堀のWaccaさんなどで修行という形でバイトさせてもらったりしているので、そこで色々なことを学んでいます。
カ:Waccaも様々な国の料理を自由な解釈で提示しているお店ですもんね。きっと小松君に合うと思うし、これからさらなる進化が期待できますね。
小:そうなれるよう、頑張っていきます!
カ:頑張ってください! 今はもうカレー一本で、今後独立を考えながら修行と間借りカレー店営業ということですか?
小:はい。いずれ自分のお店を持ちたいと思って頑張っているんですが、まだ大学卒業できてないんですよ(苦笑)
カ:そうなの!? そしたらまずはそこ頑張らないとだね(笑) せっかく入ったなら卒業しないともったいないもの。
小:はい(笑) どちらも頑張ります!
小松さんはかつて鬱病を患い、引きこもってしまって大学に行けなくなった時期があったそうです。それで卒業するのに時間がかかっているのですが、鬱の中でカレーにハマり、カレーを介して出会った仲間達に救われ、今は元気にカレーを作っています。
かく言う僕も、毎日カレーを食べるようになったきっかけのひとつが、精神を病んでいた時にカレーを食べた日は普段より元気に動けると気付き、ならばもっと食べてみようと思ったからという理由です。
カレーは人を確実に救います。 日本のインドとも呼ばれる高円寺で根付きつつある間借りカレーの文化。
今回ご紹介したカナマカナンの他にも、多くの間借りカレー店や、間借りカレー出身シェフの独立店舗があります。
色々と巡ってみるのも楽しいですよ。

店舗情報

店 名  Khana Makanan(カナマカナン)
住 所  東京都杉並区高円寺北 3-22-12第6東和ビル3階
営業日  毎週日曜営業
営業時間 11:00-15:00
https://twitter.com/khana_makanan
https://twitter.com/tom_komatsuKM

カレーおじさん\(^O^)/

2006年から毎日カレーを食べ続けているカレーおじさん\(^O^)/
TBS「マツコの知らない世界」ほか多数のメディア出演、カレー記事の連載、カレープロデュースまで行うカレーアディクト。
http://akinolee.tokyo/?page_id=1380
「間借りカレーdiggin’」は毎月15日に掲載いたします!お楽しみに!